8月20日 コーヒーの苦み
ブラックコーヒーがそれなりにおいしく飲めるようになった。
そこまで好んで飲むわけではないが、昔親が飲んでいるコーヒーを一口もらったときみたいに、舌先に触れただけで苦くて顔をしかめる、というようなことがなくなった。
その事実に、私もついに味蕾が弱ってきたか、でもうまいな、と喜怒哀楽の哀と喜が現じた。
「コーヒーがおいしい」と言えるのは大人の特権のようで、香りだけを楽しんでいた私は漠然と憧れていた。
しかしいざ飲めるようになってみると、苦みを敏感に察知して嫌がっていた子供時代が懐かしい。
これぞほろ苦い大人の気分である。
ビターな味が「大人な味」と謳われるのに長いこと疑問を抱いていたが、なるほどそういうことらしい。
今度、朝にコーヒーを飲んで夜にピーマンの肉詰めを食べる日を作ろうと思う。
幼少時代と青年時代の交わりだ。